金欠パドレス率いるシルト監督の正体 アマ出身から這い上がり、金満ドジャースを最後まで苦しめた
他の監督たちも、高校や大学のコーチからスカウトに採用されたことでプロの世界に入り、その後、マイナーの監督や球団の育成部門で実績を上げてメジャー球団のコーチに抜擢され、それを足掛かりに監督の座をつかんでいる。
この4人のうち群を抜く実績を上げているのはマイク・シルトだ。ボールズ、トスカ、トレンブリーの3人はポストシーズン進出が一度もないのに対し、シルトはフルシーズン監督を務めた4年間、いずれもポストシーズンに進出。19年にはナ・リーグの最優秀監督に選出されている。
今季パドレスは、オーナーの死去に伴う予算の大幅削減で投打の主力がごっそり抜け、大きく負け越すと見る向きが多かった。しかし、シルトはそんな危機的状況を、高い潜在能力を秘めた若手(投手ではキングとウォルドロン、野手ではメリル)をレギュラーに抜擢し、使い続けることで克服した。彼らははじめ結果を出せなかったが、中盤以降大きな戦力に成長し、ドジャースと優勝争いする後半戦の白星ラッシュにつながった。
シルトの采配の特徴は、リードと守備にたけたベテラン捕手を重用することだ。これはカージナルスの監督時代、カリスマ捕手のモリーナを最大限活用して投手力を向上させた経験に基づくもので、パドレスでははじめ控えだった日系人のベテラン捕手カイル・ヒガシオカを中盤から正捕手に据え、その決断がシーズン後半の爆発力を生んだ。