《新垣渚の巻》資質だけならナンバーワンも「うちなー時間」が玉にキズ
2000年代のホークスは、好投手揃いでした。斉藤和巳という大エースがおり、杉内俊哉、和田毅の左腕二枚看板もいる。しかし、僕が「素質は彼ら以上」と思っていたのが、新垣渚(44)です。
MAX155キロの直球に加えて、決め球のスライダーの曲がりも「えぐい」のひと言。ただ、子どもの頃に足を負傷した影響なのか、下半身が細く、繰り返す故障に苦しみました。ホークスでの晩年は、足首をテーピングでガチガチに固めないと投げられなかったほどです。
さらに、シュートを覚えたことで暴投も増えた。渚にすれば投球の幅を広げるためでしたが、決め球のスライダーとシュートは回転方向が逆。シュートを覚えたことにより、指先の感覚に狂いが生じたのか、肝心のスライダーが抜けるようになってしまいました。
当時の藤田学二軍コーチは、「とにかく抜けるスライダーをなくそう。引っかけるのはいい。むしろ引っかけ癖をつくろう」と親身に指導をしていましたが、それだけシュートはもろ刃の剣でもある。才能はピカイチ、もっと結果を残せたはずの選手だったと思わざるを得ません。