大柄で足が速くない僕を、なぜPL学園の中村監督はセカンドにしたのか
僕のポジションはコロコロ変わった。
最初はショートとして阪神に入団。その後はセカンド。2005年は岡田彰布監督の「守備の負担を軽減して打撃に専念させたい」との方針でサードに転向。一般的には遊撃や二塁より三塁の方が守りやすいとされるが、僕はサードが一番難しいと感じた。
なんといっても、速い打球が多く、反応が難しい。ドライブのかかったライナー性の打球なんて、プロでさえスルーしてしまうこともザラ。その姿がまた不格好で嫌だった。三塁ベースより後ろの定位置だと、バウンドが合わないことが少なくなく、ややこしい打球が飛んでくるのもサードが圧倒的に多い。本当はもっと後ろに守りたいところだが、ズルズル後ろに下がると、前にセーフティーバントを転がされた時に対応できない。確かに二遊間より守備範囲は狭いし、連係が少ないため、守備時のサインも少ないのだが、三塁は難しいポジションだと知って欲しい。
一方で最も思い入れがあるのはセカンドだ。
PL学園時代から慣れ親しんだ、唯一しっくりくるポジション。僕はセカンドの守備に自信を持っていた。一般的には小柄で俊敏で守備範囲の広いタイプが守ることが多い。阪神の野村克也監督には「今岡は足が遅いから守備範囲が狭い」とよく怒られたものだが、身長185センチと大柄で足が遅い僕をあえて置いた理由をPL学園の中村順司監督は「中継プレーとゲッツーを取るために肩が強い今岡をセカンドに置いているんや」と言っていた。