「コミュニティ発電所」古屋将太氏
<「異なる世代が一緒につくり上げる楽しさがあります」>
トラブルが毎日報じられる東京電力福島原発。「原発はもうダメだ」と思う人も、「国が自然エネルギーをやってくれればいいのに」と他力本願になりがちだ。著者は、その発想自体を変えようと呼びかける。
「今まで通りトップダウンで誰かが変えてくれるのを待っていたら、原発のような依存型・中央集権型の構造は変わりません。自分たちのことは自分たちで決めようと市民が集まって、自然エネルギーをつくっていくことで、従来の構造も変わります。大変だけど、楽しいことだと伝えたくて書きました」
自分たちで発電所をつくるなんて可能なの? と疑ってしまうが、電力会社や大企業でなくても太陽光や風力発電所をつくったデンマークや日本の実例がある。
長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー株式会社」は、1口10万円や50万円のファンドで市民から2億円もの資金を集めた。
市の保育園や公民館の屋根にソーラーパネルを設置し、余剰電力を電力会社に買い取ってもらい利益を上げようとしたが、公共施設のパネル設置は「前例がない」と自治体は許可しない。著者が研究員を務める「エネルギー政策研究所」のスタッフは、地元の人々と一緒に知恵をしぼり、さまざまな難局を乗り越える。