「座禅ガール」田口ランディ著
■「女と坐禅」がテーマ最新長編小説
東日本大震災からちょうど1年後。知人の僧侶の寺でささやかな慰霊祭を催した作家、よう子は、会場ではかなげな美人に出会う。美しい顔は死人のように生気がなく、美貌と猫背の体がひどく不釣り合い。小動物のように怯えている。何かわけがありそうだ。
田口ランディの最新長編小説のテーマは「女と坐禅」。
よう子は得体の知れない美人を自宅に連れ帰り、面倒を見るはめになる。だが、りん子と名乗る女は、心を閉ざしたまま。よう子は、そんなりん子を坐禅に誘う。アメリカから女性の禅マスターを招いて、坐禅会を開くことになっていたからだ。
40代のよう子と30代のりん子。2人の独白が交互に繰り返されて物語は進行し、それぞれに懊悩(おうのう)していることが分かってくる。失恋、コンプレックス、愛する人の死、家族との確執、破れない自分の殻……。
元キャリアウーマンだったという禅マスター、アイリーンに導かれて2人は座る。しかし、無心とはほど遠く、心は乱れに乱れる。この苦しさの先に、光は見えるのだろうか。