「もみ消しはスピーディーに」 石川智健著

公開日: 更新日:

 監察官が起こした不祥事を契機に、警察官僚はアメリカの諜報企業リスクヘッジ社と契約を結んだ。表向きは、第三者機関として監察を含めた組織全体の監視をするのが任務だったが、実際期待されていたのは不祥事をすぐに察知し外部に漏れる前に処理するという秘密のミッション。リスクヘッジ・ジャパンに所属する近衛怜良は、さっそく淫行をネタに脅されている警察官を発見し自己都合の依願退職へと導く。監察を出し抜いて不正を握りつぶす手法は表には出せないミッションだったが、その動きを不審に思った雑誌記者・鮎川譲は、監察官の和久井勝也に共闘することを持ち掛けるのだが……。

 個人の自宅や自家用車のレベル、収入、家族構成、旅行頻度、消費傾向などの変動からテロリストを割り出す手段を確立した諜報企業が、国家警察の不祥事の隠蔽を請け負うという道具立てが見事な新しいタイプの警察小説。リスクヘッジ社対監察官のバトルを一気に読ませる。

(講談社 1500円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末