「洋楽日本盤のレコード・デザイン」植村和紀著

公開日: 更新日:

 ダウンロードによる音楽配信が当たり前の世代には、「ジャケ買い」なる言葉は死語どころか、もはやその意味さえも通じないかもしれない。ところが、ここ数年、アナログレコード復活の動きがにぎやかだという。本来の温かみのある自然音への回帰とともに、ジャケットのアートワークの魅力もその復活に大きく貢献しているようだ。

 本書は、日本独自のアートワークが施された往年の洋楽日本盤シングルのジャケットの世界を紹介するビジュアルブック。

 洋楽日本盤シングルの発売は、1950年代中頃から本格的に始まった。日本のロックンロールの扉を開けたエルヴィス・プレスリーの「ハートブレーク・ホテル」(56年)のように、当初はオリジナルのタイトル表記やデザインを踏襲したものが多かった。50年代後半になると、邦題を入れた独自のジャケットが増えてくる。中にはナンシー・シナトラの「リンゴのためいき」(63年)のように原題(THINK OF ME)とは全く関係ない邦題がつけられたものもある。

 そのデザインの特徴は、なんといっても手書きのレタリング文字にある。60年代前半に一大ブームを巻き起こしたビーチ・ボーイズの「ファン・ファン・ファン」(64年)などはその最たる例だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」