失敗しない家庭菜園特集
「手づくりのすすめ」小玉光子・八田尚子・自然食通信編集部編著
家庭の中で受け継がれてきた手づくりの技が、大手メーカーの安価な加工品に押されていつしか秘伝のようになってしまった昨今、食べ物の素顔に出合える手づくりに挑戦したいという人が増えている。そんな人におすすめなのがこの一冊。
酒ダネから作る酒まんじゅう、新鮮な魚のうま味を凝縮させたカマボコ、1日かけて作る昔ながらの水あめ、肉のうまさを引き出すハムやベーコンづくりなど、垂涎ものの手作りの品々がずらりと紹介されている。技を持つ人々のもとへ直接足を運び、手ほどきを受けて記事を作ったというだけあって各地の特色や地域性もうかがえる。
本書は、1981年に創刊された雑誌「自然食通信」で紹介された「手づくりのすすめ」をまとめた87年の改訂版であり、旧版発刊以降に起こった食品行政の動きについても言及。食品衛生法や表示制度の問題点などにも触れながら、便利さや安さばかりが優先されて本来の自然な食からますます遠くなってしまった現代の食卓の現状にも警鐘を鳴らしている。(自然食通信社1800円+税)