ヘイトスピーチの醜悪さと「事件簿」を網羅(選者・中川淳一郎)

公開日: 更新日:

 本書については過去の安田氏の著作「ネットと愛国」の続編的な位置づけになっているため、同作を読み、ネット上で常に展開されるヘイトスピーチを追っかけてきた私からすると既視感はあった。

 だが、「韓国人差別なんて……。韓流ドラマ、昔ほどの盛り上がりはないけど私も友達もよく見てるよ」なんて認識が一般には強いだけに、まさか日本でこんな状況が発生していることに気付いていない人も多いだろう。

 数々の「事件簿」的なものも事細かにつづられており、ここ数年間のヘイトスピーチの流れを把握するには最適の書である。

「朝鮮人死ね!」などと叫ぶデモの際、安田氏が在日女性に「個人攻撃されなくて、本当によかったよ」と元気づけるために言ったら「なんで……」と言われ、「私ずっと攻撃されてたやん。『死ね』って言われてた」と告げられる場面など、「ヘイトスピーチという娯楽をする者」と「言われる者の苦悩」の意識差を痛切に感じられる。★★(選者・中川淳一郎)



【連載】週末オススメ本ミシュラン

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議