著者のコラム一覧
香山リカ精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授

1960年、北海道生まれ。東京医科大卒。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。著書に「執着 生きづらさの正体」ほか多数。

「きみを夢見て」スティーヴン・エリクソン著

公開日: 更新日:

 突然だが、本紙を購読するあなたは、世の中や政治についてもかなりの関心を持っているのだろう。そして恐らく、今の権力のあり方については批判的な見方をしているに違いない。しかし、そのことは会社や家庭では話しにくいな、とも感じているはずだ。

 時間や空間が交錯する風変わりな作品で知られるアメリカの作家、スティーヴ・エリクソンの新作の主人公ザンも同じだ。自分から政治の話をしないばかりではなく、人々が議論をしているときでも政治については語らないようにしている。昔はそうではなかったのに、今では対立を嫌っているのだ。

 ザンは地元の大学で文学やポップカルチャーを教え、ラジオ局でDJを務めている。妻のヴィヴは写真家、息子、そしてエチオピアから迎えた幼い養女の4人で暮らすというなかなかの文化人ぶりだが、ちょっとしたことから家計は急激に悪化、ついに持ち家を追われるときがやって来る。ザンはやむなく、妻の元カレに職を斡旋してもらい、一家でロンドンに向かうことになる……というのがメーンのストーリー。

 ただ、途中からロバート・ケネディや彼の選挙運動を手伝ったエチオピア女性のサイドストーリーが入り込んでくる、といったエリクソン流のわかりづらさはご愛嬌。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    《中日》1位指名した金丸夢斗をパ全球団が“完全スルー”した裏に「カラダの問題」

  2. 2

    松本人志ほぼ無職も海外配信の莫大収益でウハウハ…それでも和解に首を縦に振れない複雑事情

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    《西武》1位で怒涛の遊撃手「指名三連発」は“ポスト源田”の枯渇招いた投手重視ドラフトのツケの証し

  5. 5

    《巨人》先発の金丸夢斗を外して「1~3位に内野手指名」はFA&外国人の大型補強の前兆か

  1. 6

    《阪神》ドラ1指名で“高校生回避”のウラに背に腹は代えられぬ藤川監督の強いこだわり

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    DeNA崖っぷち助っ人が火事場の馬鹿力で巨人相手に6回1安打無失点、クビ回避へ猛アピール

  4. 9

    【スクープ】自民・丸川珠代候補「選挙違反」の決定的証拠!夜8時以降も街頭演説しビラ配り継続

  5. 10

    妻・瀬戸サオリの反論が"トドメ" ジャンポケ斉藤は消滅危機…インスタには4歳の息子の写真がまだ…