「シャーロック・ ホームズの思考術」マリア・コニコヴァ著、日暮雅通訳
脳にある「ワトソン」と「ホームズ」の2つのシステム
名探偵の思考法を最新の心理学と脳神経科学の知見から分析したノンフィクション。
ホームズの人間の心に対する洞察力やものの考え方は、犯罪捜査とは無縁の多くの事柄に応用することができるという。人間の脳は2つのシステムをベースにして動いている。一方は反応が速く、直感的で反射的。もう一方は反応が緩く、より慎重で、より徹底して、論理にかなった動きをする。クールで思慮深い後者のシステムの方が脳を消費するので、私たちは思考する時間のほとんどで前者のシステムを使う。それぞれを「ワトソン・システム」と「ホームズ・システム」と名付け、「脳という屋根裏部屋」の利用と管理の方法を解説する。(早川書房 920円+税)