災害時の効果的な“支援の仕方”マニュアル
阪神・淡路大震災以降、国内に多くのボランティア団体が組織され、ボランティア文化が根付くきっかけとなった。東日本大震災、そして先ごろ発生した熊本地震をはじめ、大雨や台風による被災地には、多くの人々が支援の手を差し伸べている。
一方で、支援のノウハウに関してはまだ浸透しているとは言い難く、被災地の足を引っ張り、混乱の原因になるケースが少なからずある。そこで荻上チキ著「災害支援手帖」(木楽舎 1200円+税)では、効果的な支援の方法について解説している。
支援には義援金を送るほか、物資を現地に送る方法もあるが、知っておきたいのが“必要なものは日々変わる”ということ。着の身着のままで避難した直後は古着でも喜ばれるが、数日経過すると企業などから新品の衣類が届くようになり、古着は好まれなくなる。被災地には大量のカップラーメンが届くが、ライフラインの寸断でお湯が沸かせないと食べることができず、お湯が沸かせるようになったころに炊き出しが始まるというズレも生じやすい。
刻々と変わるニーズを個人で把握するのは難しいので、NPOが欲しい人と届けたい人をつなぐためにネットで公開している「ウィッシュリスト・マッチングリスト」などを参考にするとよい。電話で被災自治体に聞く方法もあるが、問い合わせが殺到すると現地の負担になるため、控えた方が無難だ。
物資を送る際にも、心遣いが不可欠。段ボールはサイズのそろったものが望ましく、1つの箱に1種類の品物を入れ、品目や数量を書いたラベルを上面と、横面の2面以上に貼る。整理しやすく配りやすい配慮をすることで、物資が被災者に届きやすくなるのだ。
子どもの遊び場をつくる、ペットを救護する、ネットを活用し情報を提供するなど、やれることはたくさんある。今後も多くの人たちが経験するであろう“支援する側”になったときに何をすべきか、知っておきたい。