時代に翻弄される「沖縄の底力」

公開日: 更新日:

「沖縄からはじめる『新・戦後入門』」飢餓陣営・佐藤幹夫編

 ベトナム反戦や成田闘争には声を上げたはずなのに沖縄問題になると頼りない、という団塊世代は少なくない。戦後の沖縄は「本土復帰」を祝いながらも実はヤマト(本土)への違和感を心中深く秘めていた。そのしこりが、いま基地問題を契機に一気に噴出したのだ。本書は「敗戦後論」で日本の戦後思想史を鋭く突いた加藤典洋をかこむかたちで編集された雑誌特集形式の論集。

 収録されたインタビューでは、裁判官という立場から沖縄差別と戦ってきた仲宗根勇氏は今回の米大統領選後の沖縄問題の見通しを聞かれ、クリントンなら現状維持だろうが、トランプ勝利なら「むしろそれを好機にいい結果のほうに導けるんじゃないか」という。こうした発想がどこから来るのか、その入り組んだ背景が本書に満載されている。(言視舎 1600円+税)


【連載】NEWSを読み解く今週のキーワード

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」