映画界、出版界も注目 なぜいまヒトラーなのか?
「丸刈りにされた女たち」藤森晶子著
戦時中、ドイツ兵と愛し合ったために、戦後「対独協力者」としてつるし上げられたフランスの女たち。彼女たちはしばしば丸刈りにされ、町中引き回しの上で裁判投獄された。著者は大学受験生時代にたまたまテレビでその存在を知り、関心を抱いたという。やがてフランス留学中に、現地でも通称「ドイツ兵の恋人」やその子どもたちの名誉回復の動きがあることを知り、取材を開始。R・キャパが撮った有名な丸刈り女性の写真についても深く調べ、本書で報告している。
戦争の混乱と憎しみの中で押しつぶされた丸刈り女性たち。彼女たちとの出会いを含め、戦争の古い傷痕に迫る30代日本女性の力作ルポルタージュ。(岩波書店 1900円+税)