暴言王トランプは世界を暗黒に引きずり込むのか?
「トランプ政権と日本」NHK取材班
メキシコ国境に壁を築き、TPPも皆保険制度(オバマケア)も廃止と断言してきたトランプ。日本人に最も気がかりなのは日米関係の今後への影響だろう。本書は大越健介キャスターを中心とした「トランプ現象取材班」によるもの。
冒頭、日米経済の米側専門家筋への取材内容が披露される。まず懸念すべきはトランプの対日認識が1970年代のまま止まっているとの指摘。「日本が貿易でアメリカを利用している」との見方が悪名高いジャパンバッシングを呼んだのだ。その再来か? というわけだ。他方、トランプはやり手の「交渉人」ゆえ心配無用というのは著名な投資家で商務長官に内定したウィルバー・ロス。過激な発言は選挙戦向けのものだという。
しかしこの取材はトランプが共和党候補になる直前のもの。商務長官内定後はロス発言も過激化しつつあるという。やはり予断を許さないということだ。日本の企業関係者からは「グローバル化の終わりの始まり」との声が聞かれる。
米国内では人種差別感情という「パンドラの箱」をこじ開けたトランプ。まさにその行方は「視界不良」だ。(NHK出版 780円+税)