「健康診断は受けてはいけない」近藤誠著

公開日: 更新日:

 日本人の多くが“健康のため”に受けている健康診断。しかし、「寿命を延ばす」といった効果を示すデータなどなく、欧米では否定されている検診すらあると、医師である著者は警鐘を鳴らす。

 たとえば、日本人男性の48%が受けている肺がん検診だが、欧米ではその効果が否定されている。アメリカでは肺がん検診の効果を調査するため、ヘビースモーカーの男性9000人を対象に12年にわたる比較試験が行われた。その結果、血痰などの自覚症状が出てから病院に行く“放置群”に比べ、定期的に胸部エックス線撮影などを行う“検診群”の方が、肺がん発見数は多かった。

 ところが、肺がんによる死亡数を調べてみると、検診群の方が明らかに多いことが分かったという。チェコでも同様の比較試験が行われたが、結果は同じ。検診で肺がんを早期発見しても、むしろ寿命に悪影響を及ぼしていたのだ。

 前立腺がんや乳がんなど、欧米では“推奨しない”とされる検診はいくつもある。その一方で、日本で各種の検診が推奨されているのは、厚労省にとって検診が「公共事業」であり、儲かるためであると本書。検診が自分の健康を脅かしていないか、調べる必要がありそうだ。(文藝春秋 740円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情