「暗い時代の人々」森まゆみ氏

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 特に著者の思い入れが強いのは、京都で庶民の生活に即した反ファシズムの新聞「土曜日」を立ち上げた斎藤雷太郎、その活動を支えた喫茶店「フランソア」の開業者・立野正一だという。

あの暗黒の時代に京都で抵抗運動があったことが大事です。情報は統制され、真実が伝えられず、小さな新聞は検閲や弾圧に泣いた時代に、斎藤と立野は粘り強い闘い方をしました。『土曜日』は誰もが書けそうな平易な文章で、読み手に自分が主体になれるという気持ちを起こさせたんです。声高に騒ぎ立てるでなく、じわじわと確実に広める活動を続けましたから」

 地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊し、数々の市民運動に尽力した著者ならではの思いも強い。

「活動していると『あれやれこれやれ』と偉そうに言ってくるジジイがいるんですよ。自分では何もやらないくせに。そういうやからが入ると運動が曲がっていくのを何度も経験しましたから。上から目線や揚げ足取りでは味方がつかない。普通の人が主体性をもってやらないと、活動は長続きしません」

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