「漂流怪人・きだみのる」嵐山光三郎著

公開日: 更新日:

 戦前、ファーブルの「昆虫記」を完訳、戦後はベストセラー「気違い部落周游紀行」を執筆するなど、さまざまな顔を持つきだみのる氏の評伝。

 1970年、雑誌の編集者だった著者は原稿依頼のため、氏に会いにいく。異臭を放つ氏の部屋は今でいうところのゴミ屋敷だった。やがて著者は、氏の取材に同行して日本各地の小さな村を巡るようになる。氏のそばにはいつも美少女・ミミくんがいた。彼女は氏の実子らしいが、本人はそのことを知らない。見た目は巨漢の丸刈り頭で、脱獄囚の気配さえ漂う氏は並外れた食欲で、猥談を好み、かと思えば哲学を語り、大杉栄らアナキストとの思い出を語る。

 晩年の5年間を共にした思い出を語りながら、その破天荒な生涯と怪人ぶりを伝える。

(小学館 610円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  3. 3

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  1. 6

    フジの朝ワイド「サン!シャイン」8時14分開始の奇策も…テレ朝「モーニングショー」に一蹴され大惨敗

  2. 7

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  3. 8

    セレブママの心をくすぐる幼稚舎の“おしゃれパワー” 早実初等部とアクセスや環境は大差ナシ

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上