「GHQ ゴー・ホーム・クイックリー」中路啓太著

公開日: 更新日:

 終戦直後の昭和21年2月、内閣法務局の官僚、佐藤達夫は国務大臣の松本烝治に呼び出された。手渡されたのはGHQがつくった憲法改正案で、これに基づき日本案を起草しろという。

 実は数カ月前、国会内の委員会で政府試案をまとめたがGHQは拒否。そればかりか、<天皇はシンボル><戦争放棄>の条項を含む草案を押し付けてきたのだ。

 わずか2週間の間に日本の法律らしく整えなければならない佐藤は、総理大臣官邸の放送室にこもって仕事をしていたところ、吉田茂外務大臣と出くわす。

 GHQ草案の問題点をまくしたてる佐藤に吉田はつぶやいた。

「GHQとは何の略だか知っているかね? ゴー・ホーム・クイックリーだよ」

 戦後の占領下で憲法制定に向き合った官僚たちの人間ドラマ

(文藝春秋 1850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる