「田沼意次 汚名を着せられた改革者」安藤優一郎著
「田沼意次 汚名を着せられた改革者」安藤優一郎著
田沼意次が江戸幕府の老中として幕政を主導した時期は、賄賂が横行し政治が腐敗したというのが定説。
しかし、実際は田沼は、自由な発想で幕政に臨み、商人の知恵や経済力を活用することでそれまでにない政策を次々と実行。一連の政策で税収は増加し、財政難を克服する兆しも見え始めていたが、そんな幕府の政治スタンスに利権を見いだした商人が裏で暗躍して政治腐敗が進行。
田沼は対抗する政治勢力によって賄賂政治家のレッテルを貼られ失脚したが、その政策や新規事業は現代にも通じる先駆的なもので、彼は閉塞した社会状況を打破するために悪戦苦闘した改革政治家だったと著者は言う。
そんな改革政治家としての田沼の功績に着目して、その生涯を振り返る歴史ノンフィクション。 (日経BPマーケティング 990円)