「本能寺の変 生きていた光秀」井上慶雪著
著者は、通説に異を唱え、「本能寺の変」は天下取りの陰謀を抱いた秀吉が演出した謀反劇で、「山崎の戦い」はその方便だったと、これまでの著作で主張。本書は、秀吉に濡れ衣を着せられた明智光秀のその後を多くの史料で解き明かす歴史読み物。
光秀は山崎の合戦後、小栗栖の竹やぶで農民の竹やりに刺されて最期を迎えたとされている。その根拠は、変から120年後に書かれた「明智軍記」の記述だが、この作者不詳の本自体が、実は江戸中期に広まった「明智光秀=天海僧正説」を払拭するために書かれたものだと著者はいう。そして比叡山山麓の禅林院に逃げ込んだ光秀が、天海僧正に入れ替わり、豊臣家へ復讐を果たしたことを数々の傍証を挙げながら立証していく。
(祥伝社 750円+税)