「ぴりりと可楽!」吉森大祐著

公開日: 更新日:

 櫛職人だった又五郎は、旦那衆が道楽で開いている〈噺(はなし)の会〉で高座に上がっている。ある日、幼なじみの小鉄が、あわてふためいてやってきた。上方の洒落噺が殴り込みにやってくるという。それも寄席をつくって木戸銭を取ると聞いて驚いた。江戸では風紀取り締まりが厳しく、〈噺の会〉でさえ叱責を受けているのに。噺だけで飯が食える世界があるのか。江戸で初めての寄席は江戸っ子がつくるべきだと、狂歌師の大田南畝がぶち上げる。

 上方衆に対抗して、下谷稲荷で寄席を開き、又五郎は「話芸 軽口剽軽 山生亭花楽」として高座に上がった。その後、大坂渡りの「頓作軽口」を聞きに行ったというから、すごい。

 後に〈三題噺〉で名をあげた三笑亭可楽の一代記。

(講談社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    夏の京都に異変! 訪日客でオーバーツーリズムのはずが…高級ホテルが低調なワケ

  3. 3

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  4. 4

    不倫報道の福原愛 緩さとモテぶりは現役時から評判だった

  5. 5

    ヒロド歩美アナ「報ステ」起用で波紋…テレ朝とABCテレビの間に吹き始めた“すきま風”

  1. 6

    中日立浪監督「ビリ回避なら続投説」は本当か…3年連続“安定の低迷”でも観客動員は絶好調

  2. 7

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  3. 8

    夏休み到来! 我が子をテレビやゲーム、YouTube漬けにしない「割と簡単にできる方法」

  4. 9

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 10

    新庄監督は日本ハムCS進出、続投要請でも「続投拒否」か…就任時に公言していた“未来予想図”