「職業としてのシネマ」髙野てるみ著
多くの作品を世に送り出してきた映画配給プロデューサーによる、映画業界入門書。
「買い付けた」映画を劇場にブッキングして、観客に見て楽しんでもらうのが配給の仕事。配給する映画を広く知ってもらうため、「宣伝」という大仕事にも携わる。買い付けから劇場公開まで、ほぼ宣伝業務が続く。ゆえに「映画好き」なら配給の仕事は避けた方がいいという。なぜなら一ファンとして、好きな映画を見る時間がなくなるからだ。しかし、配給プロデューサーや配給会社の存在がなかったら、どんなに素晴らしい作品も誰の目にも触れることなく埋もれてしまう。
自らが携わった映画をはじめ、監督らのエピソードも交えながら、配給、バイヤー、宣伝と多岐にわたる仕事の実際と魅力を語る。
(集英社 946円)