「シリウスの反証」大門剛明著
弁護士や大学教授が冤罪被害者の救済活動に取り組む団体、チーム・ゼロに、吉田川事件の確定死刑囚、宮原信夫から「俺はやってない」という手紙が来た。郡上おどりの夜、米穀店の一家4人が殺され、手提げ金庫が奪われた。凶器の包丁に宮原の指紋がついていたため逮捕されたのだ。
元弁護士で大学准教授の東山佐奈は「やるべきです」と訴えた。事件現場で採取される指紋は70%が欠損のある片りん指紋で、最終的に人の目で判断されるが、宮原が前科持ちだという情報が鑑定に作用した可能性があると。指紋鑑定官の志村は指紋に相違点があると主張したが、他の鑑定官に否定された。
科学が生み出した冤罪を取り上げる社会派ミステリー。
(KADOKAWA 1980円)