「歩きながら考える」ヤマザキマリ著

公開日: 更新日:

 イタリアと日本を頻繁に行き来していた著者だが、パンデミックによって日本での滞留を余儀なくされる。当初は焦りや不安を抱いたが、やがて立ち止まって得ることも多くあることに気づく。そして2年半が経った今、「早くどこかへ行かなければ」という焦燥感は消え、これまで気づかなかった自分の中の新しい引き出しを見つけた気分だという。戦争や食糧危機などの未知なる現実が迫る中、新しい環境に適応して新たな歩みを始めた著者のエッセー集。

 政府の危機管理体制の矛盾を目の当たりにした日本人の変化、長く滞在することでわかった日本の社会風土がもたらす独特な狡猾さ、そして、できた時間でじっくりと取り組んだ趣味の昆虫飼育から学んだ死生観など。コロナ禍での日々をつづりながら思索を深める。

(中央公論新社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    悠仁さま「進学に向けた勉学の大切な時期」でも続く秋篠宮家と宮内庁の軋轢

  2. 2

    初V京都国際の《正体》と《左腕王国の秘密》…野球部“以外”の男子生徒わずか12人

  3. 3

    山陰まで及ぶ大阪桐蔭・西谷監督のスカウト活動範囲…《最新車で乗り付けてきた》の声も

  4. 4

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  5. 5

    目黒蓮をCMに再起用したコーセーにSnow Manファン大暴走 佐久間大介も別問題でファンに苦言

  1. 6

    「Snow Man=めめ以外は演技下手」定着のリスク…旧ジャニのマルチ売りに見えてきた限界

  2. 7

    もはや任意じゃなくて強制…12月2日のマイナ保険証一本化に向けて強まる国民への包囲網

  3. 8

    離職後、定年後は何をしたい? 第2位「まだ考えていない」…では第1位は?

  4. 9

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  5. 10

    "キムタク神話崩壊"へ秒読み…通算3作目ソロアルバムが1stから56%ダウンの惨憺