「『利他』の生物学」鈴木正彦、末光隆志著

公開日: 更新日:

「『利他』の生物学」鈴木正彦、末光隆志著

 メリットを期待するわけでもなく、つまずいた幼児やお年寄りにとっさに手を差し伸べるような行為を利他的行動という。こうした利他的行動は、進化の過程でどのように生じたのか。そして本当に他の個体のために行っている行為なのか。

 利他的行動の方が、利己的行動よりも集団としてのメリットが大きいという説がある。しかし、ミーアキャットのように、属する集団を守るために見張り役を行う哺乳類や鳥類の場合、見張り役は黙って逃げると群れから離れ、リスクが大きくなるので、警告音を発して仲間と一緒に逃げる方を選んでいるとも考えられ、警告音を発するのは純粋な利己的行為ともいえる。

 動植物のさまざまな「共生」の事例を紹介しながら、そうした生物の利他性、利己性について解説する科学テキスト。

(中央公論新社 968円)




最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  3. 3

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    清原果耶ついにスランプ脱出なるか? 坂口健太郎と“TBS火10”で再タッグ、「おかえりモネ」以来の共演に期待

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 8

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  4. 9

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  5. 10

    常勝PL学園を築いた中村監督の野球理論は衝撃的だった…グラブのはめ方まで徹底して甲子園勝率.853