「遺言未満、」椎名誠著

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「遺言未満、」椎名誠著

「死とその周辺」について思索するエッセー集。

 世界各地を旅してまわり、風葬や樹上葬、鳥葬、舟葬など、さまざまな葬送をその目で見たり、調べたりしてきた。静岡にある菩提寺の禅寺には一族の墓があり、自分もその中に入るのかと思うと気がめいる。もっと明るく開放的な「ついのすみか」を求めてはいけないものだろうか。

 そんなことを考えていたとき、大阪の一心寺のお骨佛のことを知る。お骨佛とは、人骨で作られた仏像だ。一心寺では宗派を問わず納骨を受け入れているため、骨で寺がいっぱいになり、お骨佛にするようになったという。自ら一心寺に出かけ住職に話を聞きに行く。

 ほか、孤独死や孤立死の現状を知るために労働者の街・山谷を訪ねたり、海洋散骨に同行したりするなど、エンディングノートを巡る17の旅をつづる。 (集英社 726円)

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