(5)いつもながら良い仕上がりだ
長屋に戻り、縫いかけの着物を引っ張り出した。縫物はなるべく日のあるうちに進めたい。行燈の明かりでは、細かな模様や色合いを見分けるのに難儀する。
指抜きをはめ、針に糸を通し、絹の布に針を刺した。針が進むにつれ、糸が流れるように線を描く。この時間だけは、余計なことは考えない…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,037文字/全文1,177文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】