「インドの台所」小林真樹著
「インドの台所」小林真樹著
小さなプロペラ機でクッルー・マナーリー空港に降り立った。
ここに来たのはオールド・マナーリー集落の伝統的なヒマーチャルの建築様式で建てられた民家の台所を見たかったからだ。
1階は乳牛などの家畜小屋で、2階が住居になっている。台所を見せてほしいと言うと、住民は「部外者を入れるのは神様に怒られるから」と断る。ヒンズー教では料理をする場所は聖なる場なのだ。
そこで山間部の民家の娘にカメラを渡して、台所の写真を撮ってもらった。外観と違って西洋式の流し台と真新しい冷蔵庫、ステンレス製のプレートが並ぶ近代的な台所だった。
インドの調理器具などを輸入する会社の経営者によるインド紀行。
(作品社 2970円)