「朔が満ちる」窪美澄著

公開日: 更新日:

「朔が満ちる」窪美澄著

 岩木山の麓の村で、幼い頃から父親の暴力に耐えながら育った史也は、13歳のとき、父親の頭に斧を振り下ろす。罪に問われる14歳になる前に父親を殺害しようと決めていたのだ。

 父親は一命をとりとめ、父のケガは駐在によって、事件ではなく事故として処理される。半身不随になった父が帰ってくる前に史也は弘前に住む伯母に引き取られ、東京の大学に進学。今は建築カメラマンのアシスタントとして働く。

 そんな史也の部屋にある日、病院で2度ほど顔を合わせただけの看護師・梓が転がり込んでくる。養父が決めた結婚相手から逃れるためだった。施設で育った梓は、史也を頼った理由を「あなたもあたしと同じにおいがする」からだという。

 家族の愛を知らずに育った2人が人生を取り戻す姿を描く再生の物語。 (朝日新聞出版 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  3. 3

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    阿部巨人が《もっともビビる》阪神投手の復帰でCS戦々恐々…Gナインに根付く苦手意識

  1. 6

    阪神・大山悠輔を絶不調に変えた根本原因…良かれと取り組んだオフの肉体改造が裏目

  2. 7

    兵庫パワハラ知事やコバホークも? 東大→官僚→政治家は“ピカピカの経歴”にあらず旧いタイプ

  3. 8

    やす子「24時間テレビ」での好感度上昇は諸刃の剣…早くも“イジリにくい芸人”になる懸念

  4. 9

    キムタクが迫られる「主役の座」からの退場…盟友からも“二番手”降格を提言される異例の事態

  5. 10

    神田正輝「旅サラダ」“有終の美”前に拒絶態度は変わらず…沙也加さん元カレ舞台中止で復帰は絶望的