“普通の目線”が奏功か 北野監督コメディー映画ヒットの理由
北野武監督の「龍三と七人の子分たち」がヒットしている。5月6日時点で興収が9億5000万円を突破した。最終的には10億円を超えるという。彼の前作、前々作である「アウトレイジ」の2本とそれほど変わらない数字だから、大健闘である。
北野監督にとってコメディー映画がヒットするのは初めて。これまでも笑いを題材にした映画は何本かあったが、ヒットしなかった。
テーマや設定が一般的な世界ではなく、笑いの質うんぬんの前に人々が関心を持つまでにいかなかったのだ。今回は元ヤクザのジジイたちが“大暴れする”という設定がわかりやすい。
劇場では年配者が大笑いしている。ジジイたちのバカなセリフや突拍子もない行動が大受け。それも、年配者に通じる笑いである。北野映画でこれだけ劇場に笑い声が響くのは初めてといっていい。監督もしてやったりだろう。
ジジイ軍団はコワモテで暴力的だ。あくどい組織にもまったくひるまない。それが面白く描かれ、観客にもエネルギーを与えている。