制作側が信頼寄せる ムロツヨシの「舞台で鍛えたアドリブ力」
この強烈なウザさを培ったのは、長かった下積み時代だった。1976年、神奈川県生まれで、1浪して東京理科大に入学したが「やりたいこと」が見つからず、入学3週間で不登校に。そんな時に見た芝居で段田安則の演技に感銘を受け、大学を中退して俳優養成所に入り、99年から単独で舞台活動を開始するが、売れない時代が続く。
「バイトをしながら舞台を続けていたが、名前を売るためには映像に出ないと駄目だと、映画関係者らにえげつないくらいに自分の名前を連呼して猛烈アピールを続け、少しずつ仕事を増やしてきた。舞台で鍛えたアドリブと押しの強さで、結果的に“ムロツヨシなら何かをやってくれるのでは”と多くの演出家や監督に思わせてしまった」(芸能ライター)
本人も自分のアドリブには自信があるのか、「ある時、もらった台本を見たら空白があって、『ここでムロが何か言う』と書いてあってうれしかった」と語っていた。誰もが認めるアドリブ力で、今ではどんな役を演じても独特の存在感を醸し出す不動の演技派。ますます忙しくなるのは間違いなさそうだ。