逮捕の危険も…俳優・中村ゆうじが語るストリップ修行時代
それでも社長命令だから断れなくてね。僕は一回もお世話にならなかったけど、何度、お巡りさんと鬼ごっこしたことやら。以上が当時の日課。だから、吉祥寺に借りてたアパートに帰れるのは月に数回。ほとんど劇場で寝てました。
それともうひとつ。年に一度ぐらい公然わいせつ罪とか幇助罪の容疑で手入れがあるんです。社長は事前に情報を入手してまして、「代わりに座ってろ」とだけ言い残して行方をくらませ、僕が事務所でお留守番。しばらくすると、こわもての刑事さんたちがなだれ込んできて、何時間も「社長はどこだ」「居場所を教えろ」って怒鳴り散らされたり、脅されたり、小突き回されたり。散々な目に遭いました。
ところが、そんな危険を冒し、朝から晩まで身を粉にしても日当は3000円ぽっち。それに劇場に居続けだから、お金の使いようがないかといえば大間違いでね。
師匠の唯一の楽しみがパチンコでしたから、介助のため同行すれば、やっぱり打ちたくなるのが人情。なけなしのお金もほとんど“授業料”として消えてしまい、日当があっという間にパチンコ台に吸い込まれました。