永六輔さん大往生 作品の底流に「反権力」の気骨と反骨

公開日: 更新日:

「上を向いて歩こう」「黒い花びら」など大ヒットソングの作詞、放送作家、文筆業、ラジオパーソナリティーと多岐にわたって活躍した永六輔さんが7日に亡くなっていた。享年83。数年前からパーキンソン病と前立腺がんを患い車椅子での生活だったが、最後までラジオ番組への出演を熱望していたという。

 すでに永さんの実家の浅草・最尊寺で家族葬が営まれ、後日、お別れの会が開かれる。

 早大時代から黎明期のテレビ界で放送作家として名を成し、職業「永六輔」と呼ばれるほど多ジャンルで活躍。下町生まれで江戸文化に精通。“お上”からの押し付けには徹底して反発し、尺貫法復権運動を提唱したこともあった。

 政治家など“有名人”嫌いで知られ、旅先などでの市井の人々との交流の中から言葉を拾い集め、エッセー「大往生」などを刊行。風刺とユーモアにあふれた洒脱な作品を数多く残したが、その底流にあったのは過酷な戦争体験と権力への反骨心だった。

 戦時中は国民学校の同級生は宮城に疎開したが、永さんだけは知り合いのいる長野へ。そして昭和20年3月、卒業式のために東京に戻った仲間を襲ったのが東京大空襲だった。60年安保の際は石原慎太郎や黛敏郎ら当時の若手文化人とともに「国家権力」と対峙。落選はしたが83年には参院選に比例区から出馬したこともあった。そして繰り返しラジオや講演会などで説いていたのは平和主義と日本国憲法の大切さだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ