戦争映画の金字塔 「ダンケルク」人気の理由を評論家解説
「ダークナイト」「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督の最新作「ダンケルク」が好調だ。興収ランキングでは首位スタート、しかもエンタメ作じゃないのに5~6人に1人のお客さんが割高なIMAX上映版を観賞するという、熱のこもった興行となっている。
物語の舞台は第2次世界大戦の西部戦線。フランスの北端ダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人を救出するため、民間船まで総動員して行われた史上最大の撤退作戦を描く戦争ドラマだ。その魅力を映画批評家の前田有一氏が解説する。
「CG全盛の現代に、あえてアナログな手法で撮られた映像の迫力につきるでしょう。海岸に集結した大軍のシーンでは6000人ものエキストラを使い、海に浮かぶ駆逐艦も本物。空戦の場面では稼働する当時の戦闘機にカメラを載せて実際に飛ばしました。これら骨董品のような機体や船体の修復だけでも数億円単位のカネをつぎ込んでいる。ハリウッドといえど、そんなムチャが許されるのはこの監督の映画くらいです。だから観客としても、せっかく見るならばとIMAXの大画面を選ぶのでしょう」