福山雅治主演「三度目の殺人」 是枝監督が明かす撮影秘話
「普段撮ってるホームドラマとはワケが違うので、今回ばかりは自分の中のリミッターを外さないとできない作品でした」
初めて手がけた法廷サスペンス「三度目の殺人」が、開催中のベネチア国際映画祭コンペ部門に正式出品されている是枝裕和監督(55)。最高傑作といわれるほど評価が高く、最高賞となる金獅子賞受賞も期待される中、その思いを聞いた。
「普通なら法律監修として1人の弁護士にお願いして、専門用語のチェックをしてもらう程度です。しかし本作には7人の弁護士さんに、脚本作りの段階から参加してもらいました。具体的にはまず大学の法廷教室を借りて模擬裁判をやった。その中で、もしここで被告人が否認したら? などのシミュレーションをいくつも行って、それを5カメで撮影したのを文字起こしして脚本化しています。半年間に10回ほどやって、そのほか接見室の場面もすべて協力してもらっています。ここまで厳密に作られた法廷映画は邦画初だと思います」
福山雅治演じるエリート弁護士、重盛が引き受けたのは、勤務先の社長を殺した容疑者、三隅(役所広司)の弁護。容疑を認め、殺人の前科もあるため無期懲役への減刑を狙おうとするが、三隅は重盛への証言さえ二転三転させ法廷を翻弄する。