失踪中の女優・范冰冰 最新作は“中国版トップガン”の皮肉
3カ月以上も失踪中の中国人女優・范冰冰(ファン・ビンビン=37)が、脱税捜査のため中国政府に軟禁されているのではないかと報じられる中、出演作「スカイハンター 空天猎(くうてんりょう)」が日本で公開され物議をかもしている。
中国空軍の精鋭部隊「スカイハンター」が、テロ組織に乗っ取られた弾道ミサイル基地から人質救出のミッションに挑む様子を描いた軍事アクション。ファンはヒロインのヘリコプターパイロットを演じている。その特殊な製作背景を映画批評家の前田有一氏が解説する。
「この映画は『中国人民解放軍空軍政治工作部』が製作でクレジットされている通り、軍の主導で作られたものです。毛沢東が『政治工作はわが軍の生命線』と語った通り、昔から中国軍とエンタメ産業の関わりは深く、プロパガンダ映画も数多い。本作にもJ20ステルス戦闘機はじめ、中国空軍が誇る軍用機の実物が続々と登場して西側のそれを撃破し、国威発揚ムードを盛り上げています」
米軍機とおぼしき戦闘機に領空侵犯され、スクランブル発進した中国機が追い返す勇ましい空戦シーンなど、ハリウッド映画とは真逆の展開が新鮮だ。フィクションとはいえ、小型ドローンの支援を受けた陸上部隊の突入シーンなど、現実の米軍を凌駕するようなハイテク戦術をアピールしている点も印象に残る。