炎上に次ぐ炎上…芸能人の“クレーム投稿”は本当にNGなのか
たとえば、11月にバイオリニストの高嶋ちさ子(50=写真右)が新幹線のグリーン車で大騒ぎする家族連れに、12月に歌手の工藤静香(48=同左)が国内線の機内で乗り合わせた乗客の咳に、それぞれ苦言を呈した。恐らく、こんなことがあって、とちょっとした共感を求めただけだろうが、「芸能人なら積極的に注意しろ」「クレームならネットで一方的に言うのではなく、車掌や客室乗務員に言え」と炎上した。
芸能人=公人なのだから堂々としろ、ということなのだろう。だが、高嶋のケースは、降車時に高嶋の意を受けた車掌が「注意したが聞き入れられなかった」と謝った場面のことだったと、後にテレビで明かした。工藤にしても、顔がさす芸能人だからこそ、直接にものが言いにくく我慢を強いられることも少なくないのではないか。
相手の立場に立って考えてみる、相手の言葉を受け止めて真意を測る。多かれ少なかれ、大人であれば社会生活のなかでやっていることだ。顔が見えず、気持ちを忖度しにくいネットだからこそ、あらためて必要なコミュニケーションスキルでもある。
おうむ返しのように、反射的に素の感情を剥き出しにするのではなく、いったん受け止めた上で吟味し、品良く返す。たったこれだけのことで訴訟リスクを下げ、楽しくスムーズなコミュニケーションが実現する。そろそろ、本気でネット利用の民度を向上させる時期にきている。
(おわり)