一方、私生活では新婚の蒼井も、体当たりの激しいシーンの連続だ。白くて細い裸体、ショッキングな陣痛シーンも演じている。脇を固めるピエール瀧、佐藤二朗、井浦新、一ノ瀬ワタルなどの共演者も、これまた熱くてハイテンション。凄まじいエネルギーがあふれ出す映画になっている。
愚直で、しかも不器用で暑苦しいけど、気持ちだけは一途で真っすぐ。要領がよく、小ぎれいでスマートな若者が多い昨今では、宮本みたいなアナクロタイプは手に負えない、言わば“絶滅危惧種”だ。部下に持ったら、さぞ大変だろう。こいつ、どうする?
(荒木久文=日本映画ペンクラブ会員、報知映画賞選考委員)