医療ドラマ存続危機 アフターコロナの作品&俳優トレンドは
視聴者を癒やすソフト路線
11年7月期は上戸彩主演の「絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系)、江角マキコ主演の「ブルドクター」(日本テレビ系)といった警察ものと医療ものが上位を占めた。ところが、震災から半年が経過した10月期になると様相が一変する。1位は平均で25・2%という驚異的な視聴率を記録した松嶋菜々子主演の「家政婦のミタ」(日本テレビ系)、2位は木村拓哉主演の「南極物語」(TBS系)で、サスペンスコメディーやヒューマンドラマが大きく数字を伸ばした。結果を振り返ると、テレビ局が被災者の感情に配慮してシリアスだったり刺激的なものを避け、それが視聴者に受け入れられたことが分かる。テレビの編成マンが、9年前のこの貴重なデータを生かさないわけがない。
新型コロナ禍に疲弊した視聴者を癒やすようなソフト路線にシフトするはずだ。
「警察ものは残りますが、これから医療ドラマが消えた穴をサスペンスコメディー、ヒューマンドラマ、ラブコメなどが埋めていくことになるでしょう。また、これまで以上に“どんなドラマか”よりも“どんな役者を出すか”の比重が増すと思います。医療ドラマのような安定的な視聴率が見込めなければ、保険の意味も含めて“潜在的に数字を持っている俳優”が重宝されます。本人が出る出ないは別にして、男優なら『King&Prince』の平野紫耀、横浜流星、竹内涼真。女優なら新垣結衣、綾瀬はるか、浜辺美波あたりの注目度はますますアップしていきます」(テレビ関係者)
この言葉を参考に改めて7月以降のドラマスケジュールを見ると、横浜流星(23)と浜辺美波(19)がダブル主演を務めるラブサスペンス「私たちはどうかしている」(日本テレビ系)が目に飛び込んだ。
(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)