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吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<65>早貴被告は2億円を無心に来た家政婦のドラ子に「可哀想」と同情した

公開日: 更新日:

■結託の可能性も?

 そんな彼女がドラ子に同情していたのだ。まさか、2人が結託していた可能性はないだろうが、そのように邪推してしまいたくなるほどだった。

「自分が保証人になった借金が2億円あるって弁明していたけれど、彼女は自己破産をしていたとも言っていたんや。自己破産すれば保証人にはなれないから、それもウソやろうなあ」

 マコやんが話に入ってきた。

「でも可哀想……」

 早貴被告の口から可哀想という言葉が出たのは、最初で最後だったように思う。夫のドン・ファンが亡くなった時も「可哀想」という言葉は聞いていない。

 私たちはイブの思い出を肴にしてお酒を飲んでいた。早貴被告は従業員に酒をつぐこともせず、自分の席に腰掛けて社長と話をしていたが、珍しく機嫌がいいようで白い歯がこぼれることもあった。もともと彼女は酒が好きではなかったが、この晩は頻繁にグラスに手を伸ばしていた。 =つづく

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