著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<21>「反省はするけど後悔はしない」というのが口癖

公開日: 更新日:

 見かねた「姫」の常連客で音楽評論家の木崎義二が、妻と相談した上で、矢住代をしばらく自宅に下宿させることにした。単なる親切心か、もしくはマダムの山口洋子の依頼があったのか、詳しい事情までは判然としないが、木崎家での生活は矢住代にとって心からくつろげるものだったらしい。「週刊明星」によると、風呂から全裸のまま飛び出して、木崎の5歳の長男とじゃれ合うこともあったという。「自室から出るに出られず難儀した」という木崎の回想には実感がこもっている。同時に、次の“飯野矢住代評”にはうなずかされるものがある。

「そういう子供だから、世間の約束ごとに従ったり、物事をほどほどにするということができない。去年の夏すぎに訪ねてきたときも、1年分ぐらいあるんじゃないかと思われるおもちゃを意気揚々と持ってきて、ウチの5つになる子に、『ハイ、おみやげよ』といってドサッと渡すから、『いいかげんにしろよ』とたしなめたことがある。確かにルーズな面があり、人に迷惑をかけたろうが、損得の計算がまるでないし、どうしても憎めなかった」(同)

 無秩序で無計画、自由奔放を絵に描いたような女、それが飯野矢住代だった。男が夢中になるのもよくわかる。そんな矢住代の前に、「今まで出会ったことのないタイプ」が現れた。歌手のSである。出会いは1971年2月9日。知人に連れられてSが「姫」にやって来たのだ。そのときのことを、矢住代本人は次のように振り返る。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  4. 4

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  5. 5

    ウクライナ出身力士 安青錦がすべてを語った…単身来日して3年、新入幕で敢闘賞

  1. 6

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  2. 7

    奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  5. 10

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"