「漫才は最高の芸」信念を貫き通す上沼恵美子の荒波だらけの人生
「私も日本一やと思ってますから! (オール)阪神・巨人は」
(上沼恵美子/NHK「わが心の大阪メロディー」10月25日放送)
◇ ◇ ◇
日本を代表する、しゃべくり漫才師といえるオール巨人と上沼恵美子(67)が一昔前の芸人像を歌った「浪花恋しぐれ」をデュエットした。その後、「(海原)千里・万里さん大好き」で芸人を志したと巨人が言った後、上沼が答えた一言が今週の言葉だ。
上沼は幼い頃から、のど自慢大会で名を馳せ、歌手を志していたため、お笑い芸人になるつもりなどなかった。だが、親から半ば強引に海原お浜・小浜に入門させられ、芸の道に進み、学生時代に姉と組んだ海原千里・万里としてデビューを果たした。
すると、すぐにレギュラー13本を抱える人気者になった。妬まれたことも少なくなかったという。ある時は姉の眉毛が落書きのようになっている。なぜなら化粧道具を盗まれ、ボールペンで描いていたからだ。
22歳で結婚し、いったん芸人を辞めるが、翌年には復帰。その際、夫から出された条件は「歌は歌うな」「演技はするな」「東は滋賀、西は姫路まで」「僕の年収は越えるな」というものだったという(文芸春秋社「文芸春秋」2021年8月号)。結局それはすべてほごにすることになるが、大阪を仕事の拠点にすることだけは守り通してきた。