元Jr.カウアン氏の実名被害証言が潮目を変えた…ジャニーズ創業者性加害問題は報道機関にとっての試金石
ようやく潮目が変わってきたか。ジャニーズ事務所創業者による性加害で、共同通信、一般紙に続き、NHK、日テレ、テレ東とこれまでこの問題を一切取り上げなかったメディアが報じ始めた。
大きかったのは元ジャニーズJr.、カウアン・オカモト氏の記者会見だ。日本外国特派員協会で顔出し、実名で被害を告発したこと、それがYouTubeで配信され、NHK記者が質問しながら、報じないことに「どうして?」との声がネットであがった。また、一般紙も共同通信の記事を掲載、民放もこれに続いた。ジャニーズ担当記者がいて、同事務所への「忖度」を続けるスポーツ紙は報じていないが、スポーツ紙出身の芸能ライターはこう言う。
「いつまでスルーをし続けるか、いつ今の流れに乗って報じるか、各紙その瀬戸際にあると思いますよ。スポーツ紙がいつも、まず気にかけているのは同業他紙の動きなんです。独自ネタをスクープする『抜き』と同じくらい、自分のところだけネタが掲載されていない『特オチ』を嫌がる。結局、内向き、横並びなんですけど、そういうドメスティックなやり方ではもう先がないのは間違いないですからね」
もともとジャニー喜多川氏の性加害は業界、とりわけ芸能マスコミの間では知られていた。それは1999年からの「週刊文春」連載に対し、ジャニーズが名誉毀損で提訴したところ、性加害はあったとの認定が最高裁で確定する。2004年のことだ。このとき日本の大マスコミはほとんどがスルーしたが、時は流れ、英公共放送BBCが3月にドキュメンタリー番組を制作。これが日本でも多く見られ、「ジャニーズの本社ビルの外観にカメラを向けただけで、警備員がすっ飛んできて制止してくるのには驚いた」などと話題に。黒船がやってきて、メディア鎖国であることを国内外に露呈させたような格好で、流れが変わっていく。
「カウアンさんの証言によって、ジャニー氏が裁判で性加害認定後も未成年の少年らに手を出していたことを世に知らしめた。その被害者は3ケタ、数百人規模の性犯罪というのですから、衝撃は大きい」と、ワイドショー芸能デスクも言う。