ジャニーズ性加害問題はもはや「国際問題」…国連会見で露呈した日本社会の“腐った構造”
問われる政府・メディア・企業の姿勢
その後の質疑応答で、国連の担当者は、政府やメディア、すべての利害関係を持つ企業がこうした人権問題に積極的に取り組むことが緊急に必要だと何度も繰り返した。
「人権を守る主たる責任はまず政府にあります。(国連のビジネスと人権に関する)指導原則の中でも書かれております。けれども、あらゆるセクターや業種の企業、あらゆる規模の企業が『人権デューデリジェンス』を行うことが重要であると、指導原則の中でうたわれています」
「企業は、自分たちの活動によってこのような人権侵害を引き起こす可能性もあるし、それを助長する可能性もある、そこに関連付けられる可能性もあるわけです。自分たちの事業活動を通して、そしてその取引先を通してそのようなことが発生する可能性がありますので、企業に期待をされているのは『人権デューデリジェンス』を行って、そしてその影響力を行使して、その取引先に対して矯正をしていくわけです。その指導原則を守らせるという働きかけを行うということが重要になってまいります」(登壇した国連のピチャモン・イェオファントン氏)
作家の適菜収氏は会見の感想をこう語る。
「まさにメディアも企業も、ジャニーズ事務所という権力者に対して忖度し、問題から目を背け、何も言ってこなかったという日本の構造的な問題が露呈しました。安倍晋三の問題なども構造は同じですが、日本社会がいかに腐っているかが表れているわけです。それともうひとつ。池上彰が、『男性が性被害を受けているということが長らくピンとこなかった』などと話していますが、例えば、何百人もいるAKBのメンバーたちが長年、性被害に遭っていたとしたら、大問題になるでしょう。そこには男性に対する逆差別がある。ジャニー喜多川がやってきたことは、明らかな性犯罪なんですよ」
■国際社会の厳しい目が…
その後に行われた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の会見では、副代表の石丸志門氏が、「日本のエンタメ業界の一翼を担うメディアのみなさん、まずこの問題を報じてください。これはすでに国際問題です。日本が基本的人権の尊重を維持できる国なのかどうか、国際社会に見られている状況です」と訴えた。
問題は、すでにジャニーズ事務所だけの問題ではなくなり、まさに政府もメディアもスポンサーにも、国際社会の厳しい目が注がれているのだ。