系列局社員の寄付金着服で思い出す…「24時間テレビ」のスタッフ部屋にあった山積みの袋の中身
疲れている中でも僕らを笑わせようとしていたのだろうが、おかげで翌日の紙面で「欽ちゃん、一瞬寝ていた」と大見出しの記事を書くことができた。
その後、僕は日本テレビのワイドショーに移籍して、24時間テレビの取材を何度かしたが、その昔に番組スタッフルームに行くと、口をしっかり縛った大袋が部屋の奥に山積みになっていた。「あれ、何ですか?」と聞くと、集計日に間に合わず遅れて届いた「硬貨」の山だという。「来年の集計に加えるから取っておいてある」という返事。すごい量だけにびっくりしたものだ。
それから1年近くが経ち、今度は番組の事前取材のためにスタッフルームを訪ねたら、やはり以前と同じ状態で袋の山がほこりをかぶっていた。管理の問題はさておき、誰も手を触れていないことが一目瞭然だった。当時の番組スタッフはそれを着服しようなんて考えもしない。小さなお子さんなどが貯めた硬貨が障害がある人や貧しい国の人々の元に届くのだから、そんな罰当たりなことはしない。倫理観のしっかりした古き良き時代だった。
今回の事件を受けて、全国の系列局を調べ直さなくてはいけないという。貧すれば鈍するという言葉もあるが、鬱々とした状態の時代になり下がってしまった。