権力を監視すべき立場の放送人が、大臣や長官みたいなスタンスを気取ってどうすんのよ
超大手芸能事務所と性加害をめぐる話とあって、ジャニーズ問題と比較する論考が多く見られるのも今回の特徴だが、そのひとつに「ジャニーズと違って吉本はテレビ局に圧力をかける必要さえない。なぜなら身内だから」というものがある。そう、吉本興業ホールディングスの大株主は東京と大阪のテレビ各局なのだ。吉本興業が「テレビ業界の子会社」と揶揄される所以である。
だが現在の吉本の株主構成がそのような形に落ち着いた背景には、まだ記憶に新しい闇営業問題や島田紳助引退で取り沙汰された同社と反社の関係の歴史ありき、と指摘するのは芸能やメディアに詳しいジャーナリスト松谷創一郎さんだ。
「以前上場しているときに反社からの買収リスクがあり、それを避けるために上場廃止してテレビ局に安定株主をお願いした」(松谷さんの1月8日のX投稿)というから、事はそう単純ではない。
それにしても今回つくづく感じたのはテレビ業界のだらしなさだ。日和見どころか誰よりも凝視して事態の行方に固唾を呑んでいるくせに、まるで「事実関係がまだ明らかになっていないことにはコメントを控える」とでも言わんばかりに静観のふりを通そうとする浅ましさ、さもしさ。