キックボクサーから「和製ブルース・リー」に…風間健さん80歳 長男の筒井道隆さんが俳優を選んだワケ
当時、本物の技術を持つアクションの使い手を映画界は放っておかない。キック引退後の72年、風間さんに香港映画からオファーが舞い込む。それが運命の出会いとなった。
「『ドラゴンを消せ!』っていう映画の撮影中に、プロデューサーを通して『会いたい』って言ってきた男がいたんです。それがブルース・リー。香港ではスターでも日本では無名。それでも日本文化に精通していて、例えば彼の見えの切り方あるでしょう。あれは歌舞伎から取り入れたものです」
この縁が契機となり、日本に空前のブルース・リーブームが巻き起こることになろうとは、まったく想像していなかった。
「付き合いは1年と少し。私も武道家として意見を言いましたよ。それが突然の死でしょう。『日本人が知る前に亡くなるなんて……』と全身の力が抜けました。それもあってワーナーの早川プロデューサーに『燃えよドラゴン』を売り込んだのは実は私なんです。それが一転して大ブーム、私のもとにも、出演や取材のオファーが殺到したものです」
一躍「和製ブルース・リー」として、アクション俳優としての地位を確立、映画やドラマで活躍するも、結局、彼の心根に息づいていたのは武道だった。71年に生まれた長男を自らの後継者として徹底指導するのである。