「つくってあそぼ」の“ワクワクさん”23年 久保田雅人さんは講演会年間100本こなす超多忙生活
ユーチューブ「わくわくさんの工作教室」は赤字
久保田さんの3人の子どもたちは「カタギの仕事」につき、長女と次女は独立。現在は夫人と長男の3人で、都内のマンションで暮らす。
「子どもたちには私のように、テレビに出るような仕事につくのは絶対に許さん、と伝えていました。照明や音響など裏方ならいいけれど、表に出る役者などの仕事ほど、努力が報われない職業はないですから。私は27歳でワクワクさんに選んでいただき、テレビの仕事だけで食べてこられて本当にラッキーでした。それまではオーディションを数多く受けても、合格したのは2つだけ。苦労しました」
3年前にユーチューブチャンネル「わくわくさんの工作教室」をスタートさせた。リアルだけでなく動画でも、工作の楽しさを伝える活動を続けているのだ。
「番組終了後、雑誌などで工作を紹介していて、文章や写真だけでなく動画で伝えたい、と思ったのがユーチューブを始めたきっかけ。スタッフ3人に、ボランティアで協力してもらっています。制作費くらいはまかないたいのですが、赤字ですね(笑)。それでも今のコンセプトで続け、ワクワクさんのイメージを守りながら、活動を続けていきたい。私は人前でしゃべること、工作をすること、子どもたちと遊ぶことが大好きなんです」
気晴らしは映画やアニメのDVD観賞だ。
「70年代の邦画や洋画──『仁義なき戦い』や『ゴッドファーザー』、昔のテレビアニメ『銀河英雄伝説』とかが好きですね」
さて、落語家や教師志望だった久保田さんは、立正大学4年のとき、夢破れて劇団入り。1989年、手先の器用さなどから、「つくってあそぼ」の試作番組「わくわくおじさん」のオーディションに所属劇団の推薦を受け合格し、同年、“ワクワクさん”としてデビュー。
翌90年から「つくってあそぼ」がスタートすると、明るく親しみやすい工作ぶりで人気を得て、2013年まで23年間、出演を続けた。
「番組のスタッフは最初から最後までほぼ同じだったのでチームワークが良くて、月に1回はみんなで居酒屋やカラオケに行っていました。相棒の子熊のゴロリくんの着ぐるみに入っていた操演者や、声を担当していた方とは、本番直前に『今日行く?』『30分だけ行くか』と目配せし、本番を終えた18時ごろから、30分のはずが午前3時まで飲んだりも(笑)。彼も私も声が大きいから、『もしかして、ワクワクさんですか?』と声をかけられ、酔いがさめたりしてね(笑)」
ゴロリくんとの楽しい掛け合いを、また見たい。
(取材・文=中野裕子)