いろいろあった20代を経て、のんは弱い部分をさらけ出せるようになった
「それが自分の中でどういうことか、かみ砕けてなかったり、どういう影響があるのかとかっていうのを、おおよそは予測できたけれど、自分自身の中で完結することだと思ってた。それ以外、自分の中よりも外のことに考えが至らなかった」(NHK「かんさい熱視線」23年8月25日)と当時を顧みている。
その後、16年公開のアニメ映画「この世界の片隅に」(東京テアトル)で、声優として主人公を演じた他、演技の仕事からは遠ざかり、本格的な映像作品の演技に“復帰”するのは、20年まで待たねばならなかった。「自分の演技が大好きで、それを守りたいという意識を強く持ち続けてきた」(文藝春秋「文春オンライン」22年10月21日)という気持ちがあった彼女にとって、忸怩たる思いがあっただろう。
一方で「怒りの感情って、私の中では結構お気に入りの感情なんです」(同前)と語る彼女は、能年玲奈時代も「疳の虫」だと形容していた(日本テレビ系「嵐にしやがれ」14年8月9日)。
アートの分野で「怒り」をポジティブな表現に変え、精力的に作品を発表していった。